伊豆諸島訪問記 – 停滞 –
いざ出発!と思いきや…
「あぜりあ丸」を下船。
神津島の前浜港の岸壁を、カートに載せたシーカヤックを転がしながら、近くの浜辺に到着。
いよいよ離陸。不安と好奇心に駆られ、浜辺へと足を踏み入れた。
すると、あることに気が付いた。荷物満載したカヤックの重みにより、カートのタイヤが砂に減り込み前進が難しい。
本来は、カヤックの前後に付いている荷室を空にして、荷物とカヤックを各々分けて運搬して、セッティングするわけなのだが、横着したのだ。
200mの砂浜の上をカヤックを押しながら進む。30分かけて、ようやく波打ち際へ到着。これを間抜けという。
神津島の海と荷物満載のカヤック
海にカヤックがようやく浮かぶと、また気づくことがあった。
シーカヤックには前後の荷室と、人が乗り込む漕艇部(コクピット)が隔壁で分けられている。
今回は荷物が多く、コクピットの中にも荷物を満載。
すると、脚の動きがまったく取れない。下半身はバランスを取る役目を担っているので、それが失われ、不安定なまま初めての海に浮かんだ。
神津島西側の前浜を、まずは南へと進む。
この岬より先は荒れていて進むことができない。
北へ転進し、宿泊予定地の沢尻湾(さわじりわん)を目指す
実は、この日、若い勢いに任せ、このまま次の島へと渡ってしまおうかと、ひそかに思っていた私であった。
それは、この荷物満載で身動きがとれなくなった身体と、荒れ模様の海により、すぐ断念。
楽観的な私は鳴りを潜め、慎重派が多数派を占めた。
即刻、沢尻湾に着陸を求める。
死地をあきらめ、観光へ
テントを建てて、寝床が完成。
海から離れ、すぐに観光客モードへと転身。
3年ぶりに神津島を散策した。
日が落ちる前にテントへと戻り、クーラーボックスに入れて持参した豚肉と野菜たちを引っ張り出す。
お酒を嗜み、21時に就寝。
すると、同じキャンプサイトで宿泊していた外国人の若者たちが騒ぎ出した。
禁止されている焚き火や雄叫びなど騒音問題だ。すぐに警察へ連絡。
こうして安眠を手に入れた私は、翌日へ備えた。