伊豆諸島訪問記 – 出航 –

本州島出奔

2015年5月23日、早朝の下田港
昨晩、この下田港に隣接した公園で宿泊する。
お酒を片手に、三澤氏と足湯に浸かり談笑。やはり1人で過ごすよりは、気が晴れる。そして相談できる先輩と過ごす時間は有難いものだ。

伊豆諸島へのアクセスは、海路を取ると現在は2通り。
東京の浜松町に隣接した竹芝から発着する東海汽船の便と、ここ下田から発着する神新汽船の便だ。
この2路線を巧く乗り継げば、伊豆諸島の北部島嶼群を旅するのは楽である。これをアイランドホッピングというが、私はそれが得意だ。
今回使用する神新汽船は、貨客船として、下田から利島・新島・式根島・神津島を結ぶ。伊豆大島を省いているあたりが、なかなか粋なので、個人的に好きな路線。

車も船内へ載せられる「あぜりあ丸
島民の大切なアクセスツールだ

下田港で乗船の手続きをしていると、うみがめカヤックス遠藤氏が見送りに来てくれた。私の島渡りの最初の先生。
カヤックの猛者2人に見送られながら、あぜりあ丸にカヤックと共に乗船。下田港を9時出航。本州島を後にする。

 

あぜりあ丸の船内にて

下田港を発ち、太平洋に揺られる。
途中、神子元島(みこもとじま)を通過。その周辺海域は、スキューバダイビングのエキスパート向けの海が広がる。潮流が速い、よってハンマーヘッドシャークやカンパチなど速い流れを好む大型魚種が群れているのだ。
私もそのエキスパートであったが、なかなか強烈な海。
ただ、航行能力の高いシーカヤックならば、本州島から神子元島までのツーリングは可能。一度だけ、遠藤氏に案内してもらったことを思い出した。

海風を浴びながら、海の予習

さて、2014年に新造船された「あぜりあ丸」は、老若男女誰でも過ごしやすくなっていた。前回乗船した際は、旧型の貨客船(といっても、貨物船、ついでに客船のような)であったため、船内の霊安室に隣接した雑魚寝スペースで見えない海に揺られていたのだ。そういう船旅も個人的には好きなのだが…
一方、私のシーカヤックは、船のデッキに置かれていた。コンテナに入れずに載せると、片道2千円強とリーズナブルだ。

神子元島を過ぎると、いよいよ伊豆諸島の島々がくっきりと見え始めた。
利島や新島、そしてその中間の鵜渡根島(うどねじま)という無人島を眺めながら、これから1週間で予定の航程を確かめる様に…

神津島上陸

神津島が見えると、その南西に注目。
恩馳島(おんばせじま)という孤島が太平洋に佇む。
ここが、今から3万年前に、伊豆半島から丸木舟で人々が漕ぎ渡り、黒曜石を求めた産地である。
神津島から恩馳島までが約5kmちょっと。渡れない距離ではないが、少し海況が悪いな…

神津島全景

神津島の中心に位置する天上山(てんじょうさん)を見上げるようにして、神津島の西側に位置する前浜港に入港。
海況によって、神津島では入港場所を変更することがある。前回の入港では、島の東側に位置する多幸湾であった。今回は北東風の季節のためか、島に遮られ穏やかとなっている西側から神津島をスタートすることとなった。

神新汽船「あぜりあ丸」とシーカヤック「シュマール

無事に下船。
「危なくなったら、また乗船しなさい」
これから始まる1人旅を気にかけてくれた船員からエールを貰った。
一息ついて、いざ海の旅を始めよう。

つづく

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