【延期のお知らせ】海遍路・沖縄編

 昨年2019年から、私糸井は、「海遍路」というプロジェクトの水先案内を務めて参りましたが、今年2020年は諸般の事情で延期となりました。
 

 中国(中華人民共和国)の武漢より始まった疫病「 新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 」。
  世界各国でその猛威に晒され、 2020年3月30日現在、感染者は全世界で757,944名、うち死者は36,674名という事態。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の猛威、おそるべし…

 その予防のため、ここ最近提唱されている「社会的距離(Social Distancing)」というものがあります。これは、アウトドアをゆくシーカヤックという海旅にとって、程よい社会的距離が取れるものであると確信しておりました。

開放的な海というアウトドアの中を旅するシーカヤックの距離感は、付かず離れずが基本。2メートル以内に近づけば漕ぐことに支障あり、されど離れすぎると遭難の可能性がある。

 しかし、今年“海遍路”する沖縄本島へのアクセスは、感染のリスクが高い空港利用および飛行機利用をしなければならないこと。また、各地で活動する海遍路のチームメンバー全員が集まることが確約できないこと。
 さらに、旅人は文化だけでなく疫病も広めてきた歴史的事実がございます。海遍路の性質上、海を旅する時間を楽しむだけでなく、漁村など水際で地元の方と交流する時間に重きを置きます。未だ感染していなくても、今後1~2か月では先行きが見えない世界であり、本来の沖縄に今を見つめるには、海遍路の本質を逸する可能性があると判断し、来季への延期となりました。


 せっかく時間ができたので、今後、水旅紀行で2019年に実施した「海遍路・若狭湾」を書いていく予定ですが、その前に簡単に海遍路の紹介をいたします。


 この「海遍路」というプロジェクトは、2011年に始まりました。
  四国の漁村88カ所をシーカヤックで訪ね、海と人のつながりを見つめ直そうとした海の“お遍路”。
 当時、高知大学の山岡 耕作教授と、石垣島のシーカヤックガイドである八幡 暁さんが、漁村と魚の生態調査で、四国島1周を3年かけてシーカヤックで漁村をめぐることからスタート。
 以降、三陸(2014年)、有明海(2015年)、神奈川県沿岸(2016年)、琵琶湖(2017年)、鳥取県沿岸(2018年)と、各地を巡ってきました。
 その間、山岡教授が退かれ、森里海の連環を提唱する京都大学の田中 克名誉教授のプロジェクトへと引き継がれたのですが、2019年より八幡さんの代わりに、糸井が水先案内を務めることに…

2019年は若狭湾(京都府から福井県までの日本海)をめぐった

 今年2020年で10年目という節目であり、先代の八幡さんと漕げる機会でもあり密かに楽しみにしてきましたが、これ以上の感染拡大を予防するために、やむなく延期という判断となりました。

 沖縄の海。また平和になったら、是非皆さんで海遍路していきましょう。

海遍路若狭湾編へつづく

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