若狭湾お遍路 – 下見往路編 –

若狭湾お遍路 – 下見往路編 –

 2019年4月。当てもなく車を西へと走らせた。
 行先は、若狭湾。今回の海遍路先。

  1. カヤックの手配
  2. 地元へのご挨拶
  3. コースの下見

 この3つをクリアしなければ、初めての水域を安全に水先案内することは難しい。

 しかし、アテがない。
 この前年、JSCA(日本セーフティカヌーイング協会)の研修(舟折瀬戸での潮流研修)でお世話になった阪井さん(アクロス瀬戸内カヌースクール主宰)が、地理的にも近そうだから何かヒントがあるかも…と淡い期待を込めて連絡してみると、強力な案内人を紹介してくれたのだ。

水先案内人との出会い

 紹介していただいたのは、琵琶湖をメインフィールドにしている北村さん(ナチャラ主宰)。まずは、琵琶湖の湖畔、彦根へ向かう。

 初対面なので、横浜名物ハーバーを土産にしてみた。
 北村さん、長くカヤックの業界に携わる気さくなガイドさん。今回、カヤックのレンタルだけでなく、若狭湾海遍路の全日程を同行してくださることとなった。実は、琵琶湖だけでなく、若狭湾にも造詣が深い水先案内人でもあった。初対面なのに、有難い。これもご縁なのか。

 使用する予定のカヤックを選び、その夜は大津の親戚宅へ。
 その道中、ふと思い出した。知人の海上保安本部の方が、舞鶴にいらっしゃるような…

“八管”へご挨拶

 ご連絡したのは、第八管区海上保安本部(通称、八管)に所属される江口さん。2016年、横浜で海上保安官を対象にしたカヤック体験や、ウォーターセーフティガイドを確立するにあたり何度か霞ヶ関のミーティングでお会いしていた方でもあった。

 そういえば舞鶴にいらっしゃるな…と思い出しご連絡するには、かなり偉い方となっていたことに気づいたのは、八管へご挨拶したときであった。

糸井「江口さん、いらっしゃいますか?」

受付「江口さん、、、って次長の江口さんかしら」

 なんと、、、八管のナンバー2となっていらっしゃったとは…

保安本部部長室に通され記念写真。江口次長(右から2人目)へご挨拶

 海上保安庁への申請で、「行事申請」というものがある。これは、イベントや工事等で一部水域を占有する際に、期間を決めて他事業者へ通達する際に使用される申請である。

 シーカヤックのツーリングの場合は、占有にあたらないため申請しなくても良いが、特にステークホルダー多い港湾水域を通航するならば、申請しておいて損はないだろう。問題は、「予定通りにはいかない」というのがアウトドアに付いて回る課題でもあり、楽しみでもあるのだが、予定通り行きたいお役所との摩擦が内在することだ。

 この問題について、まず江口さんはシーカヤックについて造詣が深く(ご自身もシーカヤック乗りでもある)、いい塩梅で許容していただけるのが有難い。さらに、GPSを携帯し、位置把握させるため、「スマホでヨットレース」という企画を担当される宮田さん(ハーケンインダストリアルジャパン)を紹介していただけた。GPSを携帯しパソコンで視認することができれば、予定通りいかなくても現在地を共有できる。

 通航するであろう港湾、舞鶴と小浜の関係者の連絡先をいただき、次に若狭湾の西端を目指した。

伊根をあきらめて

 若狭湾の西には、魅力的な観光地が2つ存在する。

 日本三景の1つ、天橋立。そして、伊根だ。

 伊根は、重要伝統的建造物群保存地区として選定された舟屋の街並みが美しく、海から眺めてみたい水辺の1つ。

 ただ、こういう舟屋の地区というのは、家だけでなく、家の目の前に広がる水域もその家の庭とみなされる傾向がある。つまり、公共空間の水域であるが、プライベート空間(私有地ではない)とみなされる。ずけずけとフリーライドするには、初見では止めたほうが良い。

 ちょうど北村さんに、ここ伊根の観光に携わる方を紹介していただき、アポイントを取って海遍路趣旨をお話ししてみた。やはり、フリーライドする方が多く、地元としては受け入れがたい。その方の同行としてご一緒するならば不可能ではない、というお話。

 改めて若狭湾全域の海図を眺めると、伊根に固執する時間はないようだ(天橋立から伊根まで距離がある)。そのため、今回は伊根をあきらめて、最も出発地として適した宮津湾奥を選んでみた。