巴波川テストクルーズ1日目 – 巴波川SUP –

The Day has come.

長く恋焦がれた日が、ようやくやってきた。「巴波川テストクルーズ2017」

前日に地元栃木へ帰郷した私は、当日東京からキャンピングカーで栃木入りする同志2人と合流。
縮れ面が病みつきになる佐野ラーメンを行きつけの俵屋で食し、いざ栃木の水辺へと向かう。

スタート地点となる上流部の散策と、川のチェック。
ちょうど中間となる橋下は、なかなか流速が速い。

「川下り」というのは、瞬間的に流路を見つけ、そこに漕ぎ着ける極めて集中力と技量がいる行為だ。
その最初の練習には、ちょうど良いスポット。
流れの何処が正解か解説しながら、さらに上流へと歩を進める。
まだ時間があるので、洒落た建物が残る入舟地区へ。

ここは、旧市庁舎と学び舎があるところだ。
現在の栃木県の行政体がなる前に、栃木にも県庁所在地があった。
その薫りに触れながら、我が母校栃木高校へも潜入。
15年前と変わらない。校内を流れる県庁堀に飛び込んだことが、昨日のことのように思い出された。

まずは乗船体験。蔵の町遊覧船で学ぶ栃木の舟運史

兼ねてよりお世話になっていた我らの先輩たち「NPO法人蔵の街遊覧船」のご厚意で、まずは乗船体験。地元の水辺のストーリーを学び、江戸までの道程に想いを馳せる。

NPO法人蔵の町遊覧船、船頭の中村氏
栃木から新羽までを都賀舟(つがぶね)、新羽から下流高瀬舟(たかせぶね)に積み替え、江戸は木場までの舟運のお話し。これから利根川へと旅立つCanalistたちにとって、素晴らしい導入の体験。

下船前、船頭唄が高らかに栃木の町に響き渡った。ニクイ演出だ。

この『栃木河岸船頭唄』の中に、「向こうに見えるは春日の森よ~」とあった。これは、下見のときに発見した神社、雄雄しく沿川に鎮座していた春日神社のことだ。長年かけて頭の中に残った断片的な情報が紡がれていく感覚は、なんとも面白いものだ。

9月下旬の下見で発見した春日神社。栃木市の南を守るかのように鎮座する。 水旅のモットーの1つに、神社仏閣巡りがある

乗船体験を終え、巴波川沿川の雑貨屋「うさぎ食堂」でホットコーヒーの文字を発見。
船出前には一服したいものだ。
早速スタッフの女性にオーダー。「この後15時から目の前の川を下り、明日は利根川まで漕ぎます」と話すも、冗談半分と愛想笑い。
我ながらこの常軌を逸した企画を説明するのは、なかなか難しい。特にマリンスポーツが発達できない内陸都市ではなおさらだ。なにしろ栃木で初の出来事なのだから…

巴波川沿い「うさぎ食堂」のシンボルであるぬいぐるみの隣に、そっとパドルを置いてみる。水辺コラボ

いよいよ、巴波川に浮かぶ傾奇者たち

器材の準備も終え、いざ水面へ。
出発地点の横山郷土資料館の前には、思ったよりも我々を見送る方が多い。
遠藤氏の知人「カヌマ大学」の皆さんが見守る中、いざ出航。

先頭は、最近川下りにハマり優雅に漕ぐ平井氏。

ゆっくりと、されど確実に流れる巴波川。川としての性質を改めて噛み締めながら

後方には浅瀬での座礁を気にしてフィンを外して少し初速が付かない遠藤氏は、次の橋に当たるも無事下流へと抜けた。

11月下旬のおやつ時は既に陽が低く、逆光で視界が遮られる。幸来橋を抜け光の先へ進むと、黒塀が映える栃木の中心へと流れ着く。
水上の中央には、蔵の街遊覧船の和舟が浮かぶ。
船頭さんが我々を紹介しながら上流へ、我々SUPは流れに乗り下流へと。今昔が交錯した。
和船とSUPのコラボに、私だけでなく、沿川の方も感動しただろう。

上流へと向かう都賀舟。下流へと向かうSUP

ふと、支流を見つける。橋の奥には、船が船台の上に設置されていた。

「あれは、盆の精霊流しのときに出てくるんだよ」と、我々を見ていた地元の方が。

水路を塞き止め、水を溜めて船が浮かぶようにして、あの船は出港してくるようだ。細い水路から出てくる、その光景も楽しみだ。

本日の着陸ポイントの前、1つ堰あり。
翌日からの水旅では、7つの堰を越えていかなければならないが、その最初の堰をつまみ食い。
まずは、危険かどうか接近して確認し、毒見で下る。
流路を見て、2人も突破。

初めての堰越えに安堵する遠藤氏

川岸に設置されている「綱取道」に気をつけることは、翌日への課題だ。
距離としては、600m程度だが、私にとっては長年の願いが叶った旅であった。

こうして、無事1日目を終え、機材を遊覧船の待合所前に保管させていただくことに。
翌朝、最初からボードを膨らます手間が省け、非常にありがたい。

朝の一手間が省けて有難いボード保管

夜は、翌日旅する水路図を肴に、お酒が進んだ。
地元の銭湯「金魚湯」で温まり、キャンピングカーで朝に備える。

つづく

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